八重桜はいつから使われた言葉?
八重桜という言葉は、古くから和歌の中に見られますが、その語源は定かではありません。一般的には、日本の代表的な桜である「ヤマザクラ」が変化したものと辞典では説明されています。また、「八重咲く」という表現も使われるようになったことから、「八重咲く桜」を短くして「八重桜」と呼ぶようになったと考えることもできます。
藤原定家の肖像画
この「八重桜」という呼称が、いつ頃から使われるようになったかについては定説がありません。十二世紀後半には、藤原定家が「新古今和歌集」にて「八重さく」及び「八重桜」という言葉を用いています。しかし、それ以前にも「八重桜」という呼称が使われていたことがわかりました。その一例が、平安時代の作と言われている「いろは歌」です。誰もが知っている「いろは歌」には折句が込められており、その中に「八重咲く」という文字列が含まれていたのです。もしかすると、「いろは歌」は「八重桜」という呼称につながる「八重咲く」という表現を示す古い時代の文献のひとつなのかもしれません。
いろは歌に隠されたメッセージ
「いろは歌」は、仮名47字を重複なく用いて作られた七五調の歌です。その歌詞の中に「八重桜」のメッセージが込められていることは、あまり知られていません。なぜなら、「いろは歌」を「色は匂へど散りぬるを…」と普通に読み進めても、その歌のどこにも「八重桜」という言葉が出てこないからです。
いろは歌
色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず
その理由は、「いろは歌」に数々の折句が盛り込まれ、作者の真意が簡単には読み取れないよう、高度な技巧によって表と裏のメッセージが織り込まれている歌だからです。表立っては七五調の歌であっても、「いろは歌」を7×7の升目に入れて読むと、そこには、五七五七七調の歌として読み取ることのできる文字列が現れてきます。そして「八重桜」という呼称に通じる「八重咲く」という言葉が用いられていたことがわかりました。
「いろは歌」の折句を詠む
「いろは歌」には、以下のような七五調の歌が折句として隠されていたと考えることができます。その折句を読み解くためには、縦・横・斜めに読むだけでなく、1字おきに読む方法も組み合わせます。
まず、7×7の升目に文字列を並べます。最初に右上から左上に読むと、「イチヨラヤアエ」となります。次に、斜め右下へ「エサケイツワ」と読み、そこから再び右から左へ読むと、「トカナクテシ」となっています。そして最後の「シ」から「ス」へと飛び、その隣の「ミ」を起点として右上に向かって斜めに読むと、「ミコイレリ」と文字が並んでいることがわかります。最後に、右上角の「イ」から真下に向けて1字おきに読み、続けて右下から左へ1字おきに読むと、「イハホトナテ」という文字列になります。
伊千与良也、八重咲け逸話
咎無くて 死す御子入れり 巌となて
この七五調の歌こそ、「いろは歌」の真骨頂ではないでしょうか。表面的には単なる美しい調べのように聞こえる「いろは歌」ですが、実際には作者の意図が折句の中に巧みに包み隠されていたのです。こうした作者の本音が折句に込められた「いろは歌」は、平安時代を代表する傑作であり、卓越した言語力と類まれな知性によって生み出された比類なき文学作品のひとつであることがうかがえます。
「八重桜」とは神隠しの意味
奈良吉野の山桜表面的には美しい日本語に聞こえる「いろは歌」ですが、その折句の中には、「八重咲く桜」に準じた「八重咲く」という言葉が含まれています。この「八重桜」や「八重咲く」という言葉の発音をヘブライ語の音に照らして読み解くと、「神隠し」という意味が浮かび上がってきます。
旧約聖書の原語であるヘブライ語では、「偽る」ことをשקר(sheker、シェケラ)と言い、その発音は「さくら」のようにも聞こえます。この音の類似から、「桜」に「隠す」「偽る」という意味を読み取る解釈も成り立ちます。「桜」という言葉に「偽客」という漢字が当てられ、露店などで仲間であることを隠して客のふりをしながら周囲を偽るという意味になる点も、興味深い一致と考えられます。
また、「八重桜」の「八重」は「ヤエ」と読み、その発音は、ヘブライ語で「神」を意味する「ヤーウェー」を連想させます。そして、「神」を想起させる「八重」と、「隠す」「偽る」の意をもつ「桜」を組み合わせると「八重桜」となり、合わせて読むことで「神隠し」の意味を想定することができます。
こうして、「八重」(神)と「さくら」が「いろは歌」においては「神隠し」の意味を持つ「八重桜」という一つの言葉となり、結果として「桜」という言葉に神懸かり的なニュアンスが込められるようになったのではないでしょうか。平安時代において、桜が特別な霊木として信仰の対象になった背景についても、新たな視点から考えることができるのではないでしょうか。
空海の創作と考えられる「いろは歌」
空海歌の中に神のメッセージを隠し納め、それを永く後世に残すため、誰もが口ずさむ字母歌として「いろは歌」が創作されたとすれば、その作者とは、日本が誇る偉大な宗教家、空海だったのではないでしょうか。中国で景教に触れ、聖書の教えを学んだとされる空海は、「咎無くて死す神の御子」であるイエス・キリストのメッセージを、「いろは歌」に込めたと推測されます。そして、国民の誰もが「いろは歌」を口ずさみ、日本語を学ぶ過程で、知らず知らずのうちに神を讃えることができるような歌を創作したという仮説も成り立ちます。
「ヤエ」の神について語ろうとした空海は、その真実をあえて隠しながら後世に伝えるため、「隠す」「偽る」という意味を持つヘブライ語の「さくら」を織り込んだとも考えられます。ヘブライ語を理解していた空海だからこそ、「いろは歌」の中に「八重桜」を想起させる言葉を織り込んだのではないでしょうか。「八重桜」の語源から読み解いていくと、日本文化の中に潜むヘブライルーツだけでなく、そこに空海が関わっていた可能性までもが浮かび上がってきます。こうした視点から、「いろは歌」に秘められた不思議に迫ることができます。
