「伊都」はアイヌ語で大きな沼
「伊都」の語源については諸説がありますが、どれも定説には至っていません。まず、日本列島固有の古語であるアイヌ語で考察してみました。「i-to」という発音を前提で検証すると、アイヌ語では「イ」が「場所」を意味する言葉、もしくは単に発声の助辞であり、「ト」が「沼」「湖」を意味することから、「大きい沼のある地」と解釈することができます。また類似した発音を持つ「etok」というアイヌ語もあり、これは「沼の奥」を意味する言葉です。いずれにしても、アイヌ語では大きな沼地に関わる土地柄の言葉と理解できます。
ヘブライ語で読む「イト」の意味
「伊都」の「ト」の発音は、実際には中国語のtu、douに近い「トゥ」であることから、「伊都」の発音は「イト」よりもむしろ「イトゥ」に近いということに着眼することも重要です。その「イトゥ」という発音の言葉が、ヘブライ語の中にも見出すことができます。
הותוך(eetookh、イトゥ)の語源には、「融ける」「融合する」という意味が込めており、「メルティング・ポット」、すなわち異質のものが互いに合流して交わり、融合する、という言葉として用いられます。伊都国という場所は前述したとおり、その地域柄、海を渡ってきた海外からの使者と倭国の民が出会い、異質の文化が交錯する中間地点のような存在でした。まさに「メルティング・ポット」という代名詞が合致する場所であったと言えます。
「イト」の由来はアイヌ語とヘブライ語?
「伊都」の語源については定かではありませんが、古代八幡の地は確かに大きな沼地とも言える古洞海湾沿いにあり、また、そこは重要な政治や文化の「メルティング・ポット」となるに相応しい立地条件が揃っていました。それ故、アイヌ語とヘブライ語、双方の言葉がその語源として関わっていた可能性が見えてくるのです。