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2021/12/23

北アルプスの麓に広がる「安曇節」  「チョコサイコラコイ」に秘められた歓喜の思いとは!

「安曇節」発祥の地は北アルプス

甲信越地方の民謡でも長野県の西部、安曇野を発祥とする「安曇節」は、郷土意識が高まりつつあった大正時代に発表されました。北アルプスの裾野にひろがる安曇野の地で唄い継がれてきた踊り余興唄「チョコサイ節」や「安曇盆唄」などの盆踊り唄や、「安曇田の草取り唄」「野手唄」を参考に、それらを編曲して生まれたのが「安曇節」です。

「安曇節」は地域住民の生活に密着した唄と踊りが特徴です。その唄と踊りの背景には、当時の人々の生活が反映されていたことから、短期間で大衆の共感を勝ち得ることができました。そしていつしか民謡は土着し、多くの人々に親しまれながら唄われてきました。

「安曇節」の歌詞と囃子詞

「安曇節」は七・七・七・五調にまとめあげられた歌詞の流れを基本としています。歌詞は関東地方の民謡と同様に、全般的に短いフレーズにまとめられ、唄の歌詞は数万件を超えると言われています。そして最後は囃子詞によって締めくくられています。

「安曇節」の囃子詞にはいくつかのバリエーションがあります。基本は「チョコサイコラコイ」または「チョコサイコラホイ」です。また、その発音が多少訛って「チョサイコラサイ」と唄うバージョンもあります。

「チョコサイコラコイ」はヘブライ語?

いくつかある「安曇節」の囃子詞の中でもよく用いられている「チョコサイコラコイ」に注目してみました。日本語では単なる掛け声にしか聞こえないこの言葉には、ヘブライ語で読むと、大切な意味が込められていることがわかります。

「チョコサイコラコイ」は、「チョコ」「サイ」「コラ」「コイ」という4つのヘブライ語によって成り立っていると考えられます。

まずצחוק(tsekhok、チョコ) と発音するヘブライ語には、「笑い」という意味があります。「サイ」は、おそらく「喜ぶ!」を意味するשש(sasah、サッサ) 、もしくは「神を喜ぶ」の意で、その語尾に「神」を意味する「ヤ」を付加し「ササヤ」「サヤ」が訛ったものでしょう。すると「チョコサヤ」は、「笑って喜ぼう!」という意味になります。お祭りの場で、みんなで踊って唄う囃子詞としては、もってこいではないでしょうか。

次に「コラ」は、ヘブライ語で「声」を意味するקול(kol、コル) に由来しています。בת קול(bat kol、バッコル) という「神聖な声」の意を持つ熟語があるように、「コラ」という言葉の背景には「神」の存在に関わるニュアンスが含まれています。

続く「コイ」はヘブライ語で「生きている」を意味する「コイ」חי(khoy、ホイ) がそのルーツにありそうです。強く発音する「コイ」は「ホイ」とも聞こえます。この「コイ」という言葉は、「コラ」と合わせて「コラコイ」だけでなく「コラホイ」とも唄われることも多いことから、語源となっている可能性が高いといえるでしょう。すると「コラコイ」「コラホイ」の意味が、「生ける声!」「生きている声」となります。

「チョコサイコラコイ」の意味を解明

「チョコサイコラコイ」の囃子詞とは、神の声を求めながら、楽しみかつ、喜ぶ意味が込められていたようです。直訳すると「笑って喜ぼう、生ける神の声!」となります。このフレーズにはお祭りの場において、みんなが笑顔で喜び楽しみながら、間近に神の声を聞く、という信仰の思いが見え隠れしているようです。

お祭りが神を祀る場とするならば、そのような神聖な場で笑うとは失礼ではないか、と思われがちです。しかしながら旧約聖書には、イスラエルのダビデ王が神の御前にて喜び勇んで裸踊りをしたことが書かれてある通り、お祭りの場で笑って喜び、踊ることは、神の民としては当たり前のことであったのです(サムエル記下6章)。そのような歓喜に満ちた思いが、「チョコサイコラコイ」には込められていたのではないかと推測されます。

安曇節

サァー 寄れや寄ってこい 安曇の踊り
田から町から 田から町から 野山から
野山から 野山から チョコサイコラコイ

中島尚彦

中島 尚彦

南カリフォルニア大学、ペンシルベニア大学ウォートン校、フラー神学大学院卒。音楽系ネット通販会社サウンドハウスの創業者。古代史と日本古来の歌、日ユ同祖論の研究に取り組むとともに、全国の霊峰を登山し、古代遺跡や磐座の調査に本腰を入れている。

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