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2018/02/23

マチュピチュとクスコへの冒険旅行 第1話 憧れのインカ遺跡へ、いざ出陣!

地球の裏側、ペルーの山奥に位置する空中都市マチュピチュは、世界遺産に指定されている数多くの遺跡の中でも人気が特に高く、今や世界トップクラスの観光名所となっています。15世紀インカ帝国の遺跡として名高く、ケチュア語で「老いた峰」を意味するマチュピチュの写真を見ながら、ある日ふと、その建造物と段々畑をどうしても見たくなりました。突拍子もない思いつきなのですが、日本の琉球諸島とマチュピチュが歴史的につながっている可能性があるように感じられたのです。

空中都市マチュピチュ
空中都市マチュピチュ

与那国島 海底遺跡
与那国島 海底遺跡
2014年3月、日本の最南端に近い与那国島をダイビングして海底遺跡を探索しました。そこで潜水チームと一緒に海中で目の当たりにしたのは、信じられないほど整然と整えられた、段々畑の跡としか考えられない光景でした。それらがすべて自然の産物だ、という説もあるようですが、どう見ても人工の遺物にしか見えません。そこには階段があり、通路があり、広場があるだけでなく、三角形の星の形をしたような大きな石の像も彫られているように見えます。そして後日、海中写真に見入っていると、そこに映しだされた光景と、マチュピチュの姿に類似点が多くあるように思えてきたのです。百聞は一見に如かず。自分の目で確かめることにしました。

急遽マチュピチュへと旅立つ

2018年1月、仕事でロスアンジェルスに行くことになり、その5日後にはヨーロッパでの会議が控えていました。一旦は日本に帰国し、その後にヨーロッパへと再び旅立つというのが常套手段ですが、アメリカから向かった方が近いこともあり、これは天与のチャンスと考え、マチュピチュを含むペルーのインカ遺跡を経由してヨーロッパに行くことを急遽、決定したのです。4泊5日の寄り道となりますが、インカ遺跡を訪ねる最初で最後のチャンスと思うと、ワクワク感がつのります。

マチュピチュをつなぐインカブリッジ
マチュピチュをつなぐインカブリッジ
突如のことなので旅行プランを立てる時間もなかったことから、WEBサイトを見て、ごくアバウトに旅程を考えることにしました。世界各地を巡り歩いてきた筆者ではありますが、それまで南アメリカには行ったことがなく、ましてやペルーの山奥に関する知識などまったくありません。マチュピチュに行くには、インカ帝国の首都があったクスコまで飛行機で行き、そこから移動するのですが、調べてみると、マチュピチュ遺跡を見るには事前の予約とチケットの購入が必要であり、しかも通常は1日足らずで観光を終了しなければならないという時間制限があるようなのです。よって、4泊5日の旅程を通じて、マチュピチュに滞在するのは1泊2日に限定し、残りの日程を使って、クスコ周辺の観光名所となっているメジャーなインカ遺跡をすべて見るという大胆な計画を立てることにしました。

マチュピチュへ行く当日はにわか雨の予報
マチュピチュへ行く当日はにわか雨の予報
一番気を使ったのは、天候です。というのも2月はマチュピチュの雨季にあたり、連日雨が降るようです。せっかく地球の裏側まで行っても、雨に降られて写真さえまともに撮ることができなければ、ショックは隠せません。よって長期天気予報と睨めっこしながらマチュピチュに行く日取りを決めようとするも、毎日が曇り時々雨のようなので、こればかりは運を天に任すことにしました。そして到着後はクスコに宿泊し、周辺のインカ遺跡を見学した後、旅の後半でマチュピチュを訪ねることにしたのです。

調べてみて特にわかりづらかったのは、クスコからマチュピチュまでの移動手段です。電車を使うにも複数の駅があり、どこまで車を使うのか、また、インカトレイルを歩いて行く方法もあるのかと、わからないことだらけです。また、マチュピチュに入るチケットは事前に購入しておかないと、場合によっては人が一杯で入れないこともあるようです。同様に電車も事前予約が必須というネット情報もあり、先行して旅程を組む必要に迫られました。また、ツアーガイドなしではマチュピチュ観光は難しいという書き込みも散見されますが、生まれてからこの方、ガイドを使って旅行したことなど一度もないのです。

マチュピチュ駅近郊のホテル街
マチュピチュ駅近郊のホテル街
そこでまず、マチュピチュのホテルをネットから予約し、定評が高く割安に思えたCasa Del Solホテルに一泊することにしました。実はこの選択肢が功を奏したのです。何故なら、サービス抜群のコンシェルジュが存在し、宿泊とは全く関係ない旅の質問に対しても、親切丁寧に、すぐにメールで返信してくださったからです。ネットで調べてもわかりづらいことを何でも聞くことができたからこそ、ぎりぎりで計画をまとめることができました。

そのコンシェルジュとのやりとりから分かったキーポイントは以下のとおりです。

  1. クスコからオリャンタイタンボまでは車で移動し、そこからマチュピチュ行きの電車に乗り、チケットは事前に購入しておく。
  2. 車の手配は事前に運転手を予約し、ホテルの方で紹介する。
  3. マチュピチュのツアーは99%の方がツアーガイドが使う。
  4. マチュピチュの徒歩ツアーはワイナピチュの登頂に3時間、サンゲートに2時間、インカ橋に1時間、そしてマチュピチュ砦に2時間、合わせて8時間かかる。
  5. マチュピチュとワイナピチュ(隣接する山)のチケットは、入場時間の枠が決められているので、事前に購入する。

こうしてコンシェルジュと何度かやり取りするうちに、マチュピチュへの旅程が固まりました。飛行機でクスコに夕方着いた後、2日目の早朝から1日掛かりでクスコ周辺のインカ遺跡を個人で巡り歩きます。3日目は運転手と朝、ホテルで合流し、クスコから北東20km程離れたピサック(Pisaq)でインカ城壁や神殿、遺構を観て、その後、北西方向に60km程移動して円形テラスで著名なモレイ(Moray)と ウルバンバの谷を観光し、その後、オリャンタイタンボの遺跡を訪ね、そこからマチュピチュ行きの電車に乗ることにしました。電車の出発は午後4時43分ですから時間の余裕はありませんが、インカ遺跡をすべて見るにはこれしか術がないと思われました。

マチュピチュへ向かう電車乗り場
マチュピチュへ向かう電車乗り場
電車の予約は基本、インターネットから行い、チケットを事前購入します。マチュピチュ行きにはInca Rail(インカ鉄道)とPeru Rail(ペルー鉄道)の2社があり、一長一短のサービスを提供しています。そしてどちらが良いのかわからないまま、行きはインカ鉄道のExecutive Class、帰りはペルー鉄道の超豪華なBelmond Hihramと呼ばれる列車を予約し、マチュピチュへの旅を締めくくるご褒美としてとっておくことにしました。

インカ帝国の首都クスコに到着

クスコの街周辺の大自然を飛行機から一望
クスコの街周辺の大自然を飛行機から一望
飛行機内からクスコの街を見る
飛行機内からクスコの街を見る

標高3400mのクスコ空港に到着する
標高3400mのクスコ空港に到着する
1月27日、コスタリカを経由して夕方4時に南米ペルーのクスコに到着しました。飛行機のタラップをおりて地面を踏むと、そこはペルーの高地。周辺の山並みがきれいに見えます。そして小ぶりな空港ビル内に入り、廊下を歩いていたその時、突如、ぐらっと足がふらつき、頭がぼーっとしてきました。とっさに富士山で高山病になったことを思いだしました。そして遅ればせながら、クスコは標高3400mの高地にあり、3776mある富士山の頂上とさほど変わらないことを思い出しました。でも意識はしっかりとして、体も動いていたことから、大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、タクシーに乗りました。

ところが街に向かっている途中、なんと眼鏡を飛行機に置き忘れてきたことに気が付いたのです。それでも早くホテルにチェックインしたかったことからUターンはせず、後で空港まで取りに行くことにしました。ホテルからの距離は5km弱。せっかくだから自転車を借りて、観光がてら空港に向かえばいいと安易に思ってはみたものの、そもそも自転車に乗っている人が全く見当たりません。バイクに乗っている人もほとんどいないのです。そして街中は車が多いだけでなく、石畳の道が目立ち、とにかく坂道が目立ちます。ホテルに到着した時、時刻は既に夕方の5時を回っていました。夕暮れまでには戻ってきたかったので、急いで街中に飛び出してレンタルバイクを探し回っていると、坂道の多いクスコの街
坂道の多いクスコの街
原チャリと古いオートバイが1台ずつ置いてある小さな店をみつけました。そして何十年ぶりだろうか、原チャリに乗ることを決意!それが恐怖のバイクツアーの始まりとなり、早速クスコで洗礼を浴びることになったのです。

第2話 首都クスコの洗礼を浴びる!

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