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2026/06/06

「相馬二遍返し」の囃子詞とルーツ 福島県民謡に込められた信仰の思いとは

「民謡の宝庫」なる福島県

東北地方は民謡の宝庫として知られています。福島県も例にもれず、「会津磐梯山」をはじめ、多くの民謡が存在します。なかでも相馬地方は「民謡のふるさと」、あるいは「民謡の宝庫」とも称されるほど、全国的に著名な民謡が数多くあります。

例えば、手拍子に合わせて唄われる「相馬甚句」、踊りながら唄われる「相馬盆唄」、民謡軍歌として著名な「相馬流れ山」、家を建てる時に唄われる「相馬土搗唄」、手を叩いて囃される「相馬二遍返し」など、福島県では多くの民謡が人々に親しまれ、今日まで受け継がれてきました。

「相馬二遍返し」のルーツとは

なかでも「相馬二遍返し」のルーツは、羽黒山神社での月例祭で信者たちが唄ったことにあると伝承されています。信者たちが月例祭に集い、掛け合いで唄った「羽黒節」が広まった際に、その囃子詞から転化して生まれた民謡です。そしていつしか、宴会、酒盛の席では欠かせない唄として人々に広く受け入れられ、そのお囃子も自然と人々の間に浸透していったのです。

この囃子詞には、「ハー、イッサイコレワイ、パラットセ」という独特な発音をもつ言葉が含まれています。日本語とは思えないほど、不思議な言葉の響きを持つこれらの意味は、今日に至るまで明らかになっていません。

長年にわたり、なぜ多くの人々は、このような意味不明な言葉を口ずさんできたのでしょうか。そして、その意味について誰も疑問を抱かなかったのでしょうか。

「ハー、イッサイ」はヘブライ語か!

「相馬二遍返し」の中で繰り返し唄われる囃子詞は、「ハー、イッサイコレワイ、パラットセ」です。囃子詞の中には日本語では意味をなさない言葉でも、ヘブライ語で読むと意味が通じる場合が少なくありません。早速検証してみましょう。

「ハー」はヘブライ語でהא(ha、ハ) と書き、「見よ!」を意味する感嘆詞です。旧約聖書の中でも、随所に用いられている言葉です。

続く「イッサイ」はおそらく、イエスキリストを言い表していると考えられます。聖書時代から現代に至るまで、西アジアや東南アジアにかけて、特にイスラム圏においてはイエスキリストのことを「イサ」と呼ぶことがあり、多くの文献にもその名称が記されてきました。これはギリシャ語の「イェスー」が訛って、「イサ」という名称に可変した言葉です。「イサ」は日本語の発音では「イッサ」とも聞こえます。囃子詞の「イッサイ」も、「イサ」「イッサ」とほぼ同じ発音であることから、同様にイエスキリストを指しているという想定で囃子詞の続きを読んでいくと、自然な文脈として意味が通じることがわかります。

この前提で「ハー、イッサイ」を読むと、囃子詞全体の意味がより明確になります。それは、「見よ、イエスキリストを!」という思いを伝える言葉だったのです。新約聖書には、バプテスマのヨハネがイエスキリストに目を留めて、「見よ!神の子羊」と叫んだことが、ヨハネ書に記載されています。それと同じような思いと意味合いが込められた、信仰の言葉であったと考えられます。

「コレワイ、パラットセ」の意味は

難解な「コレワイ」という囃子詞も、ヘブライ語でその意味を理解することができるかもしれません。まず、「声」の意味を持つקול(kol、コル) の語尾に、「神」を意味するיה(ya、ヤ) を足すと、「コルヤ」「コレヤ」となります。しかし、「コレワイ」の発音とは、かなり異なります。そこでヘブライ語は逆さ読みができるということに着目し、「神」を記す子音יהוהの4文字を後ろから読んでהוהי(Huhi、フヒ) とし、「コル」のあとに付け加えてみます。すると逆さ読みでは、声の「コル」と合わせて頭の הを省くだけで、「コレ・ヴァイ」となります。その発音が多少訛って「コレワイ」になった可能性が考えられます。つまり「コレワイ」とは、「神の声」を意味している言葉になるのです。

次に「パラットセ」は、「パラット」と「セ」という2つのヘブライ語から成り立っているという前提で読んでみましょう。ヘブライ語でפלא(pala、パラー) は「優れた」「不思議」「驚くこと」を意味します。この言葉をルート語とする פלאות(plaot、プラオット) は、救いや裁きから逃れる救済の意を含む「素晴らしい奇跡」という意味の言葉です。その「プラオット」が多少訛って「パラット」になった可能性があります。

そして「セ」は「喜ぶ」を意味する「サッサ」の「サ」が訛ったものと考えられます。囃子詞では「サ」とも「セ」とも聞こえる場合があります。つまり「パラットセ」は「素晴らしい(神の)御業を喜べ!」という意味を持つ言葉と考えられます。

「相馬二遍返し」で唄われてきた信仰告白

「ハー、イッサイコレワイ、パラットセ」という「相馬二遍返し」の囃子詞は、日本語では全く意味がわからない言葉です。しかし、ヘブライ語で読むと、明確な意味を成していたことがわかりました。

「見よ、イエスキリスト!神の声!神の素晴らしい御業を!」

それはまさに、多くの人々が祭りに集い、神様を讃えるに相応しい言葉だったのです。この信仰告白こそ「相馬二遍返し」の囃子詞に秘められた真骨頂であり、今日までその意味が不透明なまま唄い継がれてきたのかもしれません。

福島県をはじめとする東北地方は民謡の宝庫として知られています。そして、その民謡の奥深い世界には、ヘブライ文化とのつながりを想起させる興味深い要素が秘められているのです。

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