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2021/12/19

歓喜の思いを唄う木曽節「ナンジャラホイ」 「ああ、喜び楽しもう!」と唱える祈りの言葉の真相

木曽節の歴史と成り立ち

長野県の木曽節と呼ばれる民謡は、多くの日本人に親しまれています。今日の長野県から岐阜県に流れる木曽川の上流にまたがる谷間周辺の木曽谷とも呼ばれる地域から広まった木曽節は、いつしか盆踊唄の「なかのりさん節」を元唄として、木曽節とその踊りが広く知れ渡りました。そして1915年頃から木曽福島町から木曽踊が再び脚光を浴び始め、現在の木曽節や踊りが庶民の間で定着したのです。

今ではお座敷騒ぎに一役買う単なる民謡に思われがちですが、木曽節の歌詞の中には、御嶽(おんたけ)という言葉が用いられ、木曽川周辺の霊峰に関わる名称であることから、木曽節そのものが人々の宗教心に結びつく大切な役割を果たしていたと考えられます。木曽の御嶽山は、元来、霊山として有名で、信仰者が集って修行を重ねる修験道を兼ね備えた山でした。その御嶽教では信者によって歩き綴られた修験道があり、そこで祈祷を捧げる行者によって唄われたのが、この「木曽節」です。

木曽節の中で唄われる歌詞の中には、「なかのりさん」という神と人の仲を取り持つ大切な役割を果たしていた祭司のような人が存在します。囃子詞のように使われている「中乗り」とは、一般的に船頭と考えられています。また、神の言葉を信者に告げる「中座」(神の依代)を指すという説もあります。その行者が御嶽山への道中で唄った木曽節の囃子詞が、「ナンチャラホイ」です。

「ナンジャラホイ」の意味とは

何の意味もないような掛け声に聞こえる「ナンジャラホイ」も、ヘブライ語で読むと、大切な意味が込められています。この囃子詞は「ナン」「ジャラ」「ホイ」と、3つの言葉に分けて解釈することができます。

まず、「ナン」はヘブライ語で「楽しむ」ことを意味するנהן(nahn、ナン) です。次に「チャラ」は、「喜ぶ」ことを表現するヘブライ語のצהלה(tzahlah、ツァラ) と考えられます。この2つの言葉を合わせると「ナンツァラ」となり、囃子詞の「ナンジャラ」とほぼ同等の発音になります。続く「ホイ」は、感嘆詞の「ホー」הו(ho、ホー) と推測されます。

「ナンチャラホイ」の意味が見えてきました。この囃子詞には、木曽の御嶽山に登る行者らが修行の道中で、「ああ、喜び楽しもう!」と、神に出会うことに期待と感謝の思いを込めて唱える、祈りの言葉だったのです。そこには「喜び楽しむ!」という祝福の思いが満ちており、人々の幸せと歓喜を言い表しています。

この面白い言葉の響きは、いつしか庶民にも口ずさまれるようになり、木曽節でも「ナンチャラホイ」「ナンジャラホイ」と唄われ、代々に継承されてきたのです。

木曽節

木曽のナー なかのりさん
木曽の御嶽さんは ナンジャラホイ
夏でも寒い ヨイヨイヨイ
袷ョナー なかのりさん
袷ョやりたや ナンジャラホイ
足袋ョを添えて ヨイヨイヨイ

袷ナー なかのりさん
袷ばかりは ナンジャラホイ
やられもせまい ヨイヨイヨイ
襦袢ナー なかのりさん
襦袢仕立てて ナンジャラホイ
足袋ョを添えて ヨイヨイヨイ

心ナー なかのりさん
心細いよ ナンジャラホイ
木曽路の旅は ヨイヨイヨイ
笠にナー なかのりさん
笠に木の葉が ナンジャラホイ
舞いかかる ヨイヨイヨイ

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中島尚彦

中島 尚彦

南カリフォルニア大学、ペンシルベニア大学ウォートン校、フラー神学大学院卒。音楽系ネット通販会社サウンドハウスの創業者。古代史と日本古来の歌、日ユ同祖論の研究に取り組むとともに、全国の霊峰を登山し、古代遺跡や磐座の調査に本腰を入れている。

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