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2021/11/01

「大漁唄い込み」の囃子詞とは   「エンヤー」の意味を解明

宮城県民謡の「大漁唄い込み」では、多くの囃子詞が唄われます。中でも「エンヤードット」という掛け声は有名です。その他、「サーヨー」「トーエー」「アレワエー」「ヨーイトナー」など、いくつもの囃子詞が「大漁唄い込み」では唄われ、民衆が共に声を掛け合いながら盛り上がります。これらの囃子詞は、古くは皆で一緒に舟をこぐ場面で、互いに意気揚々と力を込めるような時に、声を合わせて唄われてきました。

「エンヤー」はヘブライ語で「私と神」

まず、「大漁唄い込み」で唄われる囃子詞のうち、最も良く知られている「エンヤードット」に注目してみました。果たして、この掛け声には何らかの意味が込められているのでしょうか。日本語では意味がない詞でも、外来語であるという仮定で読むと、意味を成していることを見出せる時があります。

古代、イスラエルからの移民が日本列島に渡来したという前提において、「エンヤードット」をイスラエルの言葉であるヘブライ語で解釈すると、詞の意味が浮かび上がってきます。「エンヤードット」は、「エンヤー」と「ドット」、2つの言葉に分けて考えます。

まず、前半の「エンヤー」をヘブライ語で読んでみましょう。「エンヤ」は「私と神」を意味するאני יה(aniyah、アニヤ) が訛り、「エンヤ」になったと推測されます。「アニヤ」と「エンヤ」の発音は、ほぼ同等であることから、自然な訛りと考えられます。「アニヤ」の意味は、そのまま訳すると「私は神様」になりがちです。よって、2つの言葉を個々に捉え、「私」と「神」、つまり「私の神」として理解するのです。すると、神を祭る際に使われる囃子詞としても重要な意味をもつことになります。

また、「エンヤー」という掛け声はヘブライ語で「神の泉」とも理解することができます。「エンヤー」の「エン」עין(en、エン) は、 ヘブライ語で「泉」、もしくは「目」を意味します。そしてיה(ya、ヤ) は、神の呼び名です。すると、「エンヤー」という言葉が「神の泉」「神の目」を意味することになります。

「愛する人」を意味する「ドット」が指す相手

「エンヤー」の語尾には「ドット」という掛け声が続きます。この言葉の発音は大声を出して唄うには不向きな低い声の響きがあります。よって、何の理由もなく自然と形成された語尾とは考えにくく、当初から意味のある言葉であるが故に、それをわざわざ語尾に付け足したと想定する方が自然です。

ヘブライ語では「華やかな友」「愛される人」を意味するדוד(dod、ドッド) という言葉が存在します。これが「エンヤー」の語尾になったという前提で読むと、「エンヤードット」は「私の神、愛される人」、「私と神、愛されている」という歓喜に溢れた感嘆詞として解釈することができます。

この「ドッド」というヘブライ語のスペルは、実はダビデ王の名前の綴りと全く同じことにも注目です。ダビデ王のことをヘブライ語では同じくדוד(david、ダヴィッド) と書きます。全く同じ子音3文字を使った言葉ですが、母音のつけ方だけでその発音が大きく変わるのです。この「ダヴィッド」という名前は、「愛される人」を意味しています。よって「ドット」という囃子詞は、何等かの理由で「愛されている」ことを唄っていると考えられます。それは「神の愛」と考えられるのです。

「エンヤードット」とは、自分と神様との関係において、自らが神様から愛されている選民だ、という信仰告白の想いが秘められている、貴重な囃子詞の一つとして理解することができます。

ヘブライ語で綴られた囃子言葉の数々

「エンヤードット」は、「私と神、愛される人」という意味とするなら、次の「サーヨー」と、どのように意味がつながるかが大事になります。「サーヨー」とは、おそらく喜ぶことを意味する「サッサ」の頭文字「サ」をとって略称とし、その後に「神」の名前「ヤ」または「ヨ」を付け加えた言葉と想定されます。つまり「サッサヨー」が訛り、「サーヨー」になったと理解する訳です。その意味は、「神を喜ぶ!」という信仰の言葉になります。

続く「トーエー」は、ヘブライ語のטוהר(tohar、トーハー) という「清い」「正義」の意味を持つ言葉の語尾に神の「エル」を加えた言葉ではないでしょうか。そして「トーハエル」が多少訛り、「トーエル」「トーエー」になったと推測できます。それは「清い神」「神の正義」を意味します。

「大漁唄い込み」の歌詞では「寺もない、トーエー」と続くため、「トーエー」を「清い神」と解釈するならば、「寺はなくとも、清い神!」という意味になり、言葉の流れがぴったり合います。

最後の「アレワレー」は、ヘブライ語で「ヘブライ人の神」を意味する言葉です。神を意味する言葉はヘブライ語では複数ありますが、中でもאל(el、エル) は旧約聖書でも頻繁に用いられています。その神を意味する「エル」という文字が「アレ」と発音され、「アレワレー」の接頭語になったと考えられます。

では「ワレー」は何を意味するのでしょうか。ヘブライ人はעברי(ivri、イヴレー) と呼ばれ、「イワレー」という発音に聞こえます。この2つの言葉を合わせると「エレ・イワレー」となり、それが多少訛って「アレワレー」という「ヘブライ人の神」を意味する囃子詞になったと考えられます。

最後に「ヨーイトナー」は、「ヨー」が神を意味し、それにהתנה(イトナー) という「定める」という意味の言葉が付け加えられ、「神の定め」「神のご計画」という意味を持つようになった可能性があります。

中島尚彦

中島 尚彦

南カリフォルニア大学、ペンシルベニア大学ウォートン校、フラー神学大学院卒。音楽系ネット通販会社サウンドハウスの創業者。古代史と日本古来の歌、日ユ同祖論の研究に取り組むとともに、全国の霊峰を登山し、古代遺跡や磐座の調査に本腰を入れている。

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コメント
  1. 明美 より:

    宮城に住むクリスチャンです。
    大漁唄い込みに そんな秘密があったとは!
    小学校の時 運動会で踊った記憶があります。
    素晴らしいお話しありがとうございます!