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2021/11/30

「こきりこ節」の意味と囃子詞の由来 「さんさ」と「ででれこでん」の真相に迫る

「こきりこ節」の由来

筑子節とも書く「こきりこ節」は、富山県の五箇山地方を中心に多くの人に親しまれてきた民謡です。日本民謡の中で最も古い唄として知られていることから、古謡とも言われています。そして複数の古文献に「こきりこ節」の名称が記載され、その歴史は中世まで辿れるだけでなく、飛鳥時代にまで遡るという説もあるほどです。今日「こきりこ節」は、国の選択無形民俗文化財にも指定されています。

民謡の名称である「筑子」(こきりこ)とは、大道芸が行われる際に用いられた竹を指します。その細い竹2本を指で回しながら打ち鳴らし、楽器のように音を出すのです。「こきりこ節」では、長さが七寸五分(およそ23㎝)の竹について具体的に唄われており、短い竹の棒が楽器として用いられていたことがわかります。

イギリスからエリザベス女王が来日した1975年、宮中晩餐会において、この「こきりこ節」が日本の伝統を代表する音楽のひとつとして披露されたことも特筆に値します。そして五穀豊穣を祝い、その恵みに感謝することをテーマに掲げた「こきりこ節」は、長年にわたり各地の祭礼においても大勢の民によって唄い継がれ、日本屈指の古代民謡として知られるようになったのです。

民謡の名称「こきりこ」の意味

最初に民謡の名称である「こきりこ」の意味を検証してみましょう。日本語では意味のない詞ですが、西アジアのイスラエル言語であるヘブライ語で読むと、はっきりとした意味が浮かび上がってきます。

「こきりこ」は2つのヘブライ語から成り立つ詞と考えられます。まず、律法を意味するחוק (khok、コッ)に注目です。この「コッ」というヘブライ語には、ユダヤ民族が約束の地に帰郷するというニュアンスも含まれています。続く「きりこ」は、類似した発音のヘブライ語で本や記録を意味する「ケレッコ」、כרך(kerekh、ケレッコ) が語源になっていると推測されます。これら2つのヘブライ語を繋げると、「コケレコ」という言葉になります。その発音は「こきりこ」とほぼ同等であることから、それが語源となっている可能性が見えてきます。つまり、「コケレコ」が多少訛って「こきりこ」になったと考えられるのです。

その意味は、「律法の本」、「律法の書」と解釈できます。その「律法」とは聖書を通じて伝承されてきた言葉であり、神に従うことにより祝福を受け、約束の地に戻ってくることができるという民族の思いが込められています。よって、「律法の書」とは「帰郷録」のような意味合いにも理解することができます。

その前提で古来より「こきりこ節」が唄われていたとするならば、「コケレコ」と囃子詞の意味が結び付くはずです。果たして囃子詞にも意味があり、それが「律法の書」を意味する「コケレコ」に結び付いていたのでしょうか。その答えは囃子詞の意味を紐解くことによって明らかにされます。

「まどのサンサ」「はれのサンサ」の意味

「こきりこ節」で唄う囃子詞は、「まどのサンサはデデレコデン」、「はれのサンサもデデレコデン」という、日本語では全く不可解な掛け声です。この囃子詞の中で繰り返し唄われる「デデレコデン」は、一般的には太鼓の音を擬したものであると言われています。また「マドのサンサ」や「ハレのサンサ」は、意味の不明な囃子詞であるというのが通説です。しかしこれら囃子詞もヘブライ語で読むと、そこには大切な意味が込められていたことがわかります。

まず、「まどのサンサ」の「まど」は、その語源としてヘブライ語のמועד(moed、モェッド) が存在する可能性があります。「モェッド」の発音は、実際には「まど」とも聞こえます。「モェッド」「まど」とは、「決められた時」、「時の定め」、そして時には「祭り」や「祭日」をも意味する言葉です。その後に続く「の」は、願いをこめて「祈る」ことを意味するנא(na、ナ) と考えられます。

次に「サンサ」ですが、これは多く民謡で唄われている囃子詞の「サンサ」、「サッサ」と同様に、「喜べ!」を意味する詞です。「喜ぶ」、「喜べ!」を意味するヘブライ語はשש(sas、ササ) もしくはשוש(sus、スッス) と書きます。この言葉には幸せになる、という意味も込められています。それ故、祭りの歓喜の詞となります。すると「マドのサンサ」の意味は「祭りの時を喜べ!」、という囃子にふさわしい歓喜の叫びとして理解できるのです。

同様に「はれのサンサ」も歓喜の詞として唄われていたようです。「はれの」は、ヘブライ語で「誉め讃える」を意味する、הלל (halel、ハレ) が語源でしょう。この言葉は「ハレルヤ」という誰もが聞いたことがある言葉のルーツでもあります。すると「はれのサンサ」とは、神を「誉め讃えて喜ぶ」、という祈りの言葉となります。そこには大胆な信仰告白の思いが込められていたのです。

「まどのサンサ」「はれのサンサ」の意味は、「祭りの時を喜べ!」「(神を)誉め讃えて喜べ!」と理解することができます。民謡の名称「こきりこ」が「律法の書」という信仰に結びつく意味をもつという前提で考えると、その「律法の書」に基づき、「祭りの時を喜び、神を誉め讃える」と自然に関連づけることができ、意味が通じます。

「デデレコデン」の意味をヘブライ語で

次に「デデレコデン」の意味を解釈するにあたり、ヘブライ語で「道」の意を表すדרך(derekh、デレコ) という言葉に注目です。この言葉の最初に接頭語を付加して「バデレコ」בדרך(baderekh、バデレコ) とすれば、「道を進む」、「進行中」の意味となります。また、「デデレコ」דדרך (dederekh、デデレコ)と解釈することも可能であり、「あなたの道」を意味します。いずれも「道」に関連する言葉になります。

続く「デン」は、ヘブライ語のדן (dan、ダン)と解釈することにより、詞の意味が見えてきます。「デデレコ」と合わせるとヘブライ語の綴ではדדרך דן (dederekh dan、デデレコダン)となり、「あなたの道を論じている」「あなたの道を話し合っています」という意味になります。前段の囃子詞で「祭りの時を喜び、神を誉め讃える」ことを唄っているだけでなく、「こきりこ」の意味が「律法の書」ということを前提に考えると、この解釈も自然と理解できるのではないでしょうか。

「こきりこ節」の囃子詞を解明

「こきりこ節」で唄う「マドのサンサ」、「ハレのサンサ」、「デデレコデン」の意味が繋がってきました。それは、「祭りの時を喜べ!」「誉め讃えて喜べ!」、そして「あなたの道を論じています!」と理解することができます。「こきりこ」の意味が「律法の書」であるだけに、意味が自然に通じます。神の律法について人々はきちんと語り合い、神の恵みと祝福のうちに、祭りにおいてその時を喜び、神を誉め讃えて喜ぶことが、「こきりこ節」で唄われてきたと考えられます。

こきりこ節

こきりこの竹は 七寸五分じゃ
長いは袖のかなかいじゃ
(まどのサンサもデデレコデン
はれのサンサもデデレコデン)

向かいの山に啼くひよどりは
啼いては下り 啼いては上り
朝草刈りの 眼をばさます
朝草刈りの 眼をさます
(まどのサンサもデデレコデン
はれのサンサもデデレコデン)

踊りたきゃ踊れ 泣く子を越こせ
ササラは窓の もとになる
(まどのサンサもデデレコデン
はれのサンサもデデレコデン)

向かいの山に光るもんは なんじゃいな
お星か螢か 黄金の虫か
(まどのサンサもデデレコデン
はれのサンサもデデレコデン)

今来る嫁の たいまつならば
さし上げてともしゃで やしゃおとこ
(まどのサンサもデデレコデン
はれのサンサもデデレコデン)

コメント
  1. とみさき より:

    こんにちは。
    7寸5分の意味はどんなでしょうか。。

  2. ヨウジ より:

    7寸5分は22.5cm
    1/2キュビト

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