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2023/10/25

日本八霊山 レイラインから紐解く古代霊山の真相

霊峰 伊吹山

伊吹山の全貌を遠くから望む
伊吹山の全貌を遠くから望む

伊吹山地の主峰として、琵琶湖の東方に聳え立つ伊吹山は、「日本百名山」に数えられ、滋賀県最高峰の標高1377mを誇ります。伊吹山の標高は日本アルプスの半分にもいたりませんが、アジア大陸からの強風と豪雪を真っ向から受ける位置にあり、ギネスブックには世界一雪が積もった場所としても知られています。1927年2月、伊吹山には11.82mの雪が積もり、観測史上1位の世界記録となりました。また、1日あたりの降雪量としても2.3mを記録し、これも世界記録となっています。標高はそれほどまで高くはない伊吹山ですが、例年にわたり「風の通り道」とも言われる強風と豪雪にみまわれてきたのです。

その頂上からは琵琶湖から日本海や比叡山、東方には日本アルプスまでも見渡すことができる伊吹山は、古代から山岳信仰の対象となりました。無論、日本海の海上からもくっきりとその姿を見ることができます。古代、西アジアより到来した渡来人は海洋豪族とも言われる高度な航海技術を擁する民であり、日本列島に到来した後、早くから琵琶湖周辺において水路を見出し、瀬戸内から日本海に、そして太平洋側の伊勢湾の方にまで、琵琶湖を経由して行き来するようになったと想定されます。よって、その琵琶湖近くに聳え立つ伊吹山は貴重な目印であり、遠くから見極めることのできる地の指標だったのです。

伊吹山と日本武尊

伊吹山頂に祀られる日本武尊の像
伊吹山頂に祀られる日本武尊の像
古代より伊吹山で祀られているのは伊吹大明神であり、時には「巨大な白猪」や「白い大蛇」に変貌する神が宿る山として畏れられてきました。日本書紀や古事記には、日本武尊が東征からの帰途に伊吹山にて伊吹大明神の返り討ちにあい、病に冒されて命を失った話が記録されています。石鎚山と同様に、伊吹山は役小角により開山され、平安時代では比叡山、比良山、愛宕山、神峰山(かぶせん)、金峰山、葛城山と並び、近畿地方の七高山の一つとして知られるようになりました。その後、9世紀半ばには伊吹四大寺が創建され、現在では頂上に伊吹山寺山頂本堂が建てられています。

伊吹山のレイラインは、スサノオが活躍した出雲の八雲山とほぼ同緯度の線が基本となります。その線上には、琵琶湖に浮かぶ聖なる島、竹生島も存在します。出雲神話においては、スサノオと草薙剣の話が有名です。その背景に聳え立つ八雲山と結びつけられた伊吹山でも、後世において同じ草薙剣を持つ日本武尊が、歴史の舞台に登場しました。伊吹山を通る同緯度線は富士山までつながり、東征に向かった日本武尊の働きを象徴しているようにも窺えます。

伊吹山のレイライン
伊吹山のレイライン

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